2024年3月。
まだ肌寒さの残る早春、甲州街道を歩く旅に出ました。
目指すは下諏訪宿。距離にして約210km。
江戸時代、五街道と呼ばれる主要な道が整備されましたが、その中で甲州街道はちょっと特別な存在だったようです。
東海道や中山道のような華やかさはないけれど、幕府はこの道を江戸有事の際に将軍を逃すルートとして大切に考えていたそうで…
単なる街道というだけでなく、戦略的な「道」として位置付けられていたようです。
東海道や中山道よりも「地味」なイメージを持っていた甲州街道ですが、実際に歩いてみるとその印象は大きく覆されました!
むしろ、すばらしい景色や文化に触れることができました!
印象的だった点をいくつか挙げてみます。
景色が素晴らしい!
① 富士山がとにかく美しい!
まず、歩いていて一番印象に残ったのは、富士山の見え方です。
晴れていると道のあちこちから富士山が顔を出し、しかも見る場所によってその姿が少しずつ違う!
普段見慣れた富士山とは違い、まるで新しい富士山を発見するかのような感覚でした。




② 南アルプスや八ヶ岳が素晴らしい!!
甲州街道を歩いていると、道の両脇に南アルプスや八ヶ岳の山並みを望むことができます。
関西に住んでいると、南アルプスや八ヶ岳はなじみが薄いのですが、今回の旅ではその雄大さと美しさを知ることができました。
特に、韮崎宿から茅野までの間で見ることができる南アルプスと八ヶ岳の姿は素晴らしい!!





③相模湖が美しい
小仏峠を越えて相模国に入ると…
なんだか国道20号線が大渋滞してるなぁ…
小原宿の本陣跡を過ぎてその理由がわかりました!
相模湖に向かう観光客だったってことを!!
行楽施設が湖の周りにあるんですねー😊
相模湖は人工湖♬
緑に囲まれた相模湖は美しかったです😊
与瀬宿から吉野宿辺りの街道筋から見る相模湖は綺麗ですよ😊


④大自然のアート七里岩
初めて見たときには「こんなものがあるのか!」と驚いたのが七里岩です。
八ヶ岳の大噴火と釜無川の侵食でできたと言われる断崖は大自然のアート作品です!



⑤江戸時代の技術 さるはし(猿橋)
橋脚を使わず、両岸から張り出した4層のはね木で橋を支えるという、日本三大奇橋のひとつです。
本当に珍しい構造の橋で、現代の復元ながら江戸時代の図面をもとに忠実に再現されているのも感動的でした。
橋の上から見る渓谷の景色もまた素晴らしく、ここはぜひ立ち寄ってほしいスポットです。



温泉を巡る甲州街道の旅
甲州街道を歩いていると、各地に温泉が点在していることに気づきます。
今回は、甲州街道沿いにある温泉についていくつかご紹介します。
①石和温泉
昭和の時代にぶどう畑から湧き出た温泉。
今はたくさんのホテルや旅館が立ち並ぶ一大温泉観光地。
日帰り温泉もあり、旅の途中で何回もお世話になりました😊


②上諏訪・下諏訪の温泉文化
上諏訪温泉は古くから湯治場として栄えてきた歴史があります。
一方、下諏訪温泉は、諏訪大社下社の門前町としての性格が強く、より落ち着いた雰囲気を楽しめます。




③ 道の駅 信州蔦木宿つたの湯
道の駅に併設された温泉。
道中、雪で途中断念した時に見つけました。
冷えた体を温めてくれて生き返った心地にさせてくれた温泉です😊
ここに行かれる際は、車で行くのが便利。
電車もバスもないので、帰りは小淵沢駅までタクシーで帰りました。


記憶に残った宿場町
①小原宿
小仏峠を越えるとすぐにあるのが小原宿。
江戸時代の雰囲気は残っていませんが唯一、小原宿本陣は往時を感じさせてくれる建物です!
高島藩、高遠藩、飯田藩が本陣として使っていたそうで、現在の神奈川県下にあった本陣の中でここだけが現存してるそうです😊



②勝沼宿
とにかく一面ぶどう畑!!
松尾芭蕉の句にも「勝沼や馬子もぶどうを食いながら」とあり、江戸時代からぶどうの産地として栄えていたそうです😊



③台ヶ原宿
甲斐国の西、信濃国までもう少しのところにある台ヶ原宿♬
道筋には今でも古い民家や蔵が点在していて、往時の街道筋の雰囲気を感じさせてくれます♬
ランチで、宿場の西のはずれにあった古民家を改造して作られたイタリアンレストランで食べたパスタは美味かったなぁ〜♬





甲州街道の難所
甲州街道街道はJR高尾駅を過ぎたら景色が一変!!
都会の雰囲気が無くなり、道も上り坂が増えてきます。
その中でも難所だった峠が二つ…
①小仏峠
武蔵国と相模国の境界。
周りには人気の山が多く、登山者が多かったです。
昔と違って今は道も整備され、難なく峠越えができました😊
ただ、甲州街道を通って神奈川県側に下りる人は少なかった〜😆



②笹子峠
甲州街道最大の峠越え。
こちらも道はしっかり整備されていて、今では難なく越えられます。
途中、矢立ての杉や笹子隧道など見どころもありますよ♬
ここでも甲州街道を歩いている人に会うことはなく、JR笹子駅から峠を越えて駒飼宿までの間に出会った人は5人だけ…
みなさん別の目的の観光客でした😆
一つ注意するならば…
峠の頂上から駒飼宿までの旧街道は、道が不明瞭な所もあるので、不安な場合は、県道を歩かれることをお勧めします。





③鶴川の渡し
上野原宿と鶴川宿の間にある鶴川。
今は橋が架りまったく問題なく渡れますが…
江戸時代、ここに橋はなく、人足渡しだったとか。
その人足の評判が実に悪かったようで…
市川海老蔵が100両ふっかけられたり、諏訪藩といさかいを起こし、あとで役人が処罰されたりと…
ある意味、甲州街道最大の難所だったかも知れません!!



最後に…
日本橋を出発して1年2ヶ月。
13日かかりましたが、甲州街道を踏破できました😊
約210キロの道中、華やかさはないけれど、東海道や中山道にはないギューっと凝縮された歴史や文化、自然に触れることができました。
知らなかったのですが…
上石原宿は新撰組局長近藤勇の生誕の地。
この辺りには近藤勇にまつわる案内が数多くあり、非業の死を遂げた近藤勇を偲ぶことができました。

また、山梨県に入ると信玄公をはじめ武田家ゆかりの地が多く存在し、武田家がいかにこの地で愛されているかを知ることもできました。

びっくりしたのが道に祀られている道祖神!
山梨県に入ると道祖神が丸い石で祀られていること!!
それも大きな丸石が一つだけ祀られているところもあれば、幾つも積み上げられているところもあり…
初めて見た道祖神でした😊




そして自然の大きさに圧倒!!
富士山をはじめ南アルプスの山々、八ヶ岳の雄大さ、自然の彫刻七里岩。
自然の偉大さを間近で見ることができたことは感動でした!
休憩中、町内放送で「熊出没」の放送を聞いたのも初体験!!
美味しいものも食べましたよ♬
笹子餅や信玄餅、山賊そばなどなど…



心残りなのが、「ほうとう」を食べれなかったなぁ…
そんなこんなで楽しい210キロでした😊
これで東海道、中山道と五街道のうち3つの街道を歩き終えました😊
残るは日光街道と奥州街道♬
65歳までに歩き終えれたらいいなぁ…と次の目標をもって、
街道さんぽ甲州街道編♬
これにて完といたします😊
お付き合いいただきありがとうございました。
このブログがどなたかのお役に立てれば幸いです😊